ママ振袖の身巾直し・柄足し
2021年12月29日
振袖の身巾が足りない時どうすれば良い?
ママ振袖を娘さまに着せるとき、身巾(着物の横はば)が足りない時は、どうすれば良いのでしょうか?
本日は当店のお客さまの事例を交えながら、お話しさせて頂きます。
こちらの蝶の柄の振袖は、当店のお客様 中村さまのママ振りです。
とても大胆な柄ゆきで、個性的なママ振りですね!
きっと成人式の会場でも、映えるのではないでしょうか。
今回はこの着物を、来年の成人式で、娘さまにお着せしたいとの事で「やまなか」まで、お越し頂きました。
ただ実際に、お嬢さまにお着せしてみると…
上 前
下 前
写真のように身巾が狭く、お嬢さまに着て頂くには、難しい状態です。
そこで今回は、この着物を「洗い張り」という作業で、いったん反物に戻し、お嬢さまのサイズに、一から仕立て直すことにしました。
この方法ですと、身巾以外の身丈(身長の長さ)や、裄(手の長さ)も、すべてお嬢さまのサイズに、お直しする事が可能です。
洗張りの作業
さらに、反物の状態して、専用の溶剤を使い、水洗いもするため、生地の風合いもよくなり、着物の状態のままクリーニングするよりも、よりキレイになって甦ります。
費用と時間はかかりますが、身巾直しを希望されるお客様には、この方法にて、当店では対応しております。
柄がない時は柄足しをします
ただ、作業を進めていくうちに、もう一つ問題があることが分かりました。
着物をじっさいに解いてみると、写真のように、柄が途中までしかないことが分かりました。
もし、この状態のままで仕立ててしまうと、サイズは大きくなっても、柄が途中で切れてしまいます。
そこで今回は、以前にもご紹介させて頂いた、染色補正士の堀部晴久さんに、柄が描いていない部分への柄足しをお願いしました。
染色補正士 堀部晴久氏
柄足しのビフォア・アフター
この作業は、もともとあった柄に違和感がないよう、上手に柄を足さないといけないため、熟練した技術が必要です。
時間もかかりましたが、堀部さんに丁寧に仕上げていただき、完成した加工後と加工前の写真がこちらです。
柄がない箇所に、まるで最初から蝶が描いてあったかのように、キレイに足していただきました。
私の目から見ても、後から手を加えたのが分からない程の仕上がりです。
あとはこの振袖を、お嬢さまの百恵和さまのサイズに、お仕立てをさせて頂きました。
ここまで、洗張り⇒ 柄足し⇒ お仕立て の3つ作業で、4ヵ月以上のお時間がかかっておりますが、お嬢さまの晴れ着として甦らせるためには、必要な期間となります。
さらに、お仕立てが完成したあとは、帯あげ・帯じめ・草履・バック・ショールなどの小物を、百恵和さまの好みに合わせ、当店にてコーディネイトしております。
さて、このような工程をへて、最終的に完成した振袖は、どのようになったのでしょうか?
どうぞご覧下さい。
中村さまの前撮り写真
サイズも、そして、お嬢さまの雰囲気にも、何もかもかもがピッタリに仕上がり、まるで最初から、百恵和(もえか)様のために、ご用意された晴れ着のようです。
お母さまにも、たいへん喜んで頂き、時間と手間をかけて、よみがえらせた甲斐がありました。
さらに、中村さまには、6つ下の妹さまもいらっしゃるので、6年後にふたたび着て頂けるかもしれませんね。
いまから、とても楽しみです!
今回は、身巾直しと柄足しで生まれ変わった中村さまのステキな振袖を、ご紹介させて頂きました。
ありがとうございました。
振袖のサイズ直しについて、お困りの方がおられました、ママ振り専門店「きものやまなか」まで、お気軽にご連絡ください。
中村さまの晴れ着のように、うつくしく甦らせます。
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