ママ振りクリーニングで気をつける3つのポイント!
2024年10月24日
ママ振りの染み抜きはココに気をつけよう!
きものやまなか店主の山中邦彦です。
ママ振り準備の大切な作業として、クリーニング・染み抜きがあります。
お母さまの振袖は時間がたっているため、キレイにしておいたつもりでも、保管状態によっては、染みや変色になっていることが多いからです。
当店でも、年間200枚以上のママ振りをお預かりしますが、程度の差はあれ、ほとんどのケースで汚れがついています。
本日は、ママ振りをクリーニングに出す際に、気をつけてもらいたい3つのポイントを、お客さまの事例をまじえながら、解説します。
①早めに出しましょう
まず、1番最初に大切なのが「早めに出す」という点です。
なぜなら、着物のクリーニングは、お洋服と違って時間がかかり、カッターシャツのように、今日だして、次の日に仕上がることはありません。
「きものやまなか」クリーニング期間 | |
---|---|
丸洗い | 約2カ月 |
丸洗い + シミ抜き | 約3ヵ月 |
たとえば、当店ですと、こちらのような納期がかかります。
お店によって違いはありますが、早いお店でも1か月は必要ですので、遅くとも成人式の3ヵ月前には、クリーニングに出しましょう。
さらに最近は「前撮り」といって、成人式当日ではなく、前もって記念撮影をするお客さまが増えています。
その場合は撮影予定日から逆算して、さらに早めに準備をすすめる必要があります。
②着物専門のクリーニング店に出しましょう
2番目に大切なのが、着物の専門のクリーニング店、もしくは和服の専門店にお願いするという点です。
なぜなら、通常のクリーニングに比べ、ママ振りのような古い着物のしみ抜きには、熟練した技術が必要です。
お母さまの振袖
こちらの振袖は、当店のお客さま 松崎比呂美さまのママ振りですが、近くでみると、変色や染みが全体に広がっていました。
古い変色
今回この着物の染み抜きは、当店がいつもお願いしている染色補正士 堀部晴久さんにお願いしております。
堀部さんは、2021年2月に開催された「第31回技能グランプリ」の染色補正部門(着物の染み抜き・復元の技術を競う部門)で優勝した腕利きの染み抜き職人で、これまで他店で断られた「ひどい汚れ」を、何度も直して頂きました。
堀部晴久氏
松崎さまより振袖をお預かりしてから、約3ヵ月のお時間を頂きましたが、下の写真のように、とても綺麗な仕上がりとなっております。
染み抜き後
今回は、このキレイになったママ振りをお召しになったお嬢様も、最後にご紹介させて頂きます。
③長襦袢もセットで出しましょう
振袖の長襦袢
さて、3つ目のポイントとして大切なのが「長襦袢もセットで洗いに出す」という点です。
汚れについては、上から振袖を着ますので、それほど目立ちませんが、何十年もタンスに入れたままだと、独特のニオイや、小さな虫の死骸などがついている事もあります。
成人のお祝いに着る「晴れ着」ですので、気持ち良く着ていただくためにも、振袖と一緒に、長襦袢も洗いに出しておきましょう。
また、お手入れをする際に、必ずチェックしてほしいのが「半衿」です。
汚れている半衿
半衿とは、長襦袢の衿元に縫いつける布のことですが、当時の汚れがそのまま残っていたり、半衿そのものが付いていない事もよくあります。
この半衿は、振袖を着た時も見える部分ですので、汚れがついている時は、染み抜きをするか、新しいものに取り替えましょう。
とくに最近は、白い無地の半衿ではなく、豪華でボリュームのある刺しゅう半衿をつけるお客さまが増えてきました。
刺しゅう半衿
無地に比べ、お顔もとが華やかになることから、当店でも、ほとんどのお客様が、豪華な刺しゅう半衿に取り替えられます。
今回、おあずかりした松崎さまの長襦袢にも、当店にてお選びいただいた「紫色の刺しゅう半衿」を縫い付けました。
お嬢様に着て頂くと、どのような感じなるかも、ご紹介させて頂きます。
あと、最後にひとつ付け加えますと、帯も着物と同じようにクリーニングすることが可能です。
もし、汚れがついていたり、シワが気になるようでしたら、帯も一緒にクリーニングしておきましょう。
美しく甦った振袖
さて、今回ご紹介した3つのポイントで、キレイに甦った松崎さまの振袖がこちらです。
当初、お預かりした時点では、全体に変色が広がっていましたが、汚れも目立たず、新品のような美しい後ろ姿です!
さらに衿元は、お選びいただいた刺繍の半衿で、華やかにイメージチェンジしました。
髪飾りは、お嬢さまがご自分でお選びになった御品で、振袖のイメージに合っていますね。
では、お母さまの当時の写真と比べ、どれくらい変わったかご覧下さい。
お嬢さまの春香さまが希望された「カッコいいイメージ」になるよう、紫やブルーの小物でアレンジしています。
そして、今回のお見立てで、私自身とても嬉しかったのは、実はこの振袖、30年以上前に「きものやまなか」にて、お買い上げいただいた御品だったことです。
長い年月がたっても、頼りにしてもらえるというのは、呉服屋冥利に尽きますね。
これからも、皆様より、末永いお付き合いをして頂けるお店として、精進して参りたいと思います。
もし、このブログをご覧の方で、古い和服のしみ抜きや、ママ振りのアレンジでお困りの際は、ぜひ「やまなか」まで、ご連絡ください。
松崎さまの振袖のように、美しくよみがえらせます。
振袖クリーニング専門店きものやまなか
「やまなか」では、他店で断られたしつこい汚れもきれいに落とします。
振袖のクリーニング・染み抜きのことなら、下記のページよりお気軽にご相談ください。