最近の振袖が下品に感じるのはナゼ?
2024年09月29日
今ドキの振袖は安っぽい?
きものやまなか店主の山中邦彦です。
最近の振袖は昔と比べ、かなり変化してきており、見る人によっては「下品で安っぽい」と感じるという方もいるようです。
このおもな原因は、消費者の低価格指向にこたえるため、メーカーも素材・加工の品質を下げざるお得ない状況が挙げられます。
さらに、素材や人件費の高騰も、この品質低下に拍車をかけています。
また色も流行のパステル・くすみカラーですと、昔ながらの着物が好きな方からすると、下品な感じに見えるもしれません。
ババ振袖も増えています
いっぽう今どきの振袖とは対照的なママ振りと呼ばれる母親の振袖も増えています。
さらに一世代前の「ババ振袖」と呼ばれる祖母の振袖を着るかたも増えており、成人式の会場では、現代的な柄と、古き良き時代の柄が入り混じるバラエティーに富んだ振袖を見ることができます。
ババ振り・ママ振りが増えている3つの理由
では、ママ振り・ババ振りなどのお下がりの着物を着る方がとても増えてきた理由を解説します。
① お母様の上質な振袖
お母様が成人式をお迎えになった頃(昭和50年代)は 日本経済も豊かになり、100万クラスの非常に良い商品がたくさん売れています。
そのため、成人式の会場に「お母様の着物」を着て行ったとしても、帯や小物を少し変えるだけでお値打ちな新品やレンタル品と比べても、全く見劣りすることがありません。
とくに最近は、お客様の低価格志向が強く、お母様の時のような品質の良い着物が売れなくなってきてるので「お値打ちな購入品」や「レンタル品」のとなりに並ぶと、ますますお母様の着物の方が 良く見えてきます。
② エコブーム
近年のエコブームにより「使えるものは使う」という意識が非常に高まっています。
とくに お母様ご自身が その着物を1~2回しか着ていない場合、やはり「もったいない」という意識が働くようです。
経済的にも新品購入よりお安くすみ、ご自分の物ですのでレンタルのように「成人式の時だけ」という事もありません。
成人式の晴れ着は、成人式以外にも、ご親戚やお友達の結婚式・卒業式 ・ご結納の時など、様々な場所に着ていく事ができるお着物です。
③ 家族の絆
5~6年前までは「安くすむから」「全然着てないから」という理由だけで「ママふり」をリメイクする方が多かったように思います。
しかし ここ1~2年の傾向として、新作を購入できるような「経済的に余裕があるご家庭」でも
お嬢様が「ママの着物が着たい!」
お母様も「ぜひ私の着物を娘に着せてあげたい!」
おばあ様まで「娘が着た着物を孫も着てくれるなんて夢のよう!」
ということで、3人そろってご来店されるケースが増えています。
これは成人式が「お嬢様の成人を祝う儀式」から、思い出を共有し「家族の絆を深める儀式」に変化してきているからです。
そしてこの傾向は東日本大震災以降、さらに強くなっているように私は感じています。
あれ以来、多くの方が「家族の絆」の大切さをあらためて実感しました。
「お母様の振袖」を着る方が増えているというのは、そんな皆さまの想いのあらわれだと私は思います。
そして「きものやまなか」では、今後も成人式で「家族の絆」を深めていくお手伝いをさせて頂きますので、お気軽にご連絡ください。