「ママ振り」の意味
ママ振り(ままふり)・ママ振袖(ままふりそで)とは、かつて母親が成人式で着用した振袖(ママの振袖)のことを指します。
最近では、この「ママ振り」を帯や小物を現代風にアレンジして、成人式に着る二十歳の新成人女性が増えており、ママ振リメイク(ままふりりめいく)と呼ばれています。
「ママ振リメイク」で甦った振袖
20~30年前の古い振袖でも、汚れを落とし、サイズを直し、小物にアレンジを加えると、写真のように最近の振袖と並んでも、見劣りしない装いとなります。
下記のページにて、実際に「ママ振リメイク」をしてよみがえった晴れ着を紹介しています。
なぜママ振りが増えてのか?5つのメリット
ではなぜ「ママ振り」で、成人式を迎える新成人が増えているのでしょうか?
おもに次の5つの理由が挙げられます。
- 手持ちの振袖を使うので、成人式の費用を抑える事ができる。
- 友達の振袖とカブる事がまずない。
- いったん直してしまえば、成人式以外で何度でも着れる。
- 昔の振袖の方が、現代の振袖と比べても品質は良いことが多い。
- 祖母・母・娘の親子3代に渡り、思い出を共有できる。
「ママ振りブーム」社会的背景
「ママ振り」を着る二十歳の女性が増えてきた理由として、上記のメリットにも関連する7つの社会的背景が影響しています。
① デフレによる成人式費用の抑制
2012年12月に発足した第2次安倍内閣によるアベノミクスにより、失業率は大きく改善されましたが、1世帯あたりの平均所得は現在でも横ばいとなっています。
そのため成人式の費用については年々抑制される傾向にあり、手持ちの振袖を使って、費用をおさえることが出来る「ママ振リメイク」は、現代の晴れ着の準備方法として、消費者の間で注目されています。
② コストダウンによる品質低下
近年の振袖は消費者の低価格志向により、コストダウンが図られ、海外製やインクジェット方式などで制作されているものも多くなってきました。
その結果として価格は安くなりましたが、加工技術や生地の品質そのものは、昔に比べ相対的に低下しています。
いっぽうお母様の時代の振袖は、ほとんどが国内にて制作されており、100万円以上もする高額な晴れ着も大量に販売されていたため、現代の振袖と並んでも見劣りすることが少なくなってきました。
③ エコブーム
高度成長期やバブル景気の終焉と共に、大量消費社会は終わりを告げ「もったいない」という言葉に代表されるように「今ある物を大切して使う」という省資源化の考え方が、消費者の間で深く根付いてきています。
とくに和服に関しては、昔に比べ着用機会が少なくなってきたため、1~2回しか着ていない高額な和服が「タンスの肥やし」として眠っているケースが増えてきました。
そんな中「ママ振り」の活用は、何十年も眠っている着物を活用できる絶好のチャンスであり、今の時代の考え方に一番マッチした、振袖の準備方法となっています。
④ ナンバーワンからオンリーワンへ
現代のお嬢さまが、振袖を選ぶ上でもっとも重要視するポイントは、色柄や品質よりも「友達の振袖とカブりたくない」という点です。
つまり一番ではなくてもいいし、高価なブランド品でなくても良いので「誰も着ていない私だけの装いで成人式に出席したい」という考えを持ったお嬢さまが増えてきました。
その点「ママ振り」なら、友達の振袖と会場でカブる可能性は限りなくゼロに近く、小物のアレンジ自由度も高いため、自分だけの晴れ着としてオンリーワンの装いにアレンジする事が可能です。
⑤ モノからコトへ 消費者志向の変化
現代の消費者の志向は、物の所有に価値を見出す「モノ消費」から、商品やサービスの購入で得られる体験に価値を見出す「コト消費」へと変化してきています。
「ママ振り」を活用することで、費用の抑制だけではなく、祖母・母親・お嬢さまで、当時の体験を共有することでき、親子3代での記念撮影で、より思い出深い成人式を体験することができます。
ママ振りを着用されたご家族の中には、かつての母親の成人式を懐かしみ、涙を流す方もおられ、まさに体験に価値を見出す典型的な「コト消費」の事例となっています。
⑥「はれのひ騒動」の影響
現在、振袖の準備方法は、レンタル(貸衣装)が主流となっており、全体の5~6割を占めているといわれています。
そんな中、2018年1月に発生した「はれのひ騒動」は、これから二十歳を迎えるお嬢さまを持つご家庭に、大きな衝撃を与えました。
なぜなら、かりに1年前に振袖のレンタル契約を済ましたとしても、そのお店が「はれのひ」のように突然倒産してしまうと、予約した振袖を着ることができず、支払ったお金も戻ってはきません。
そんな中、手持ちの晴れ着を活用できるママ振りは、自宅で管理できる安心感から、さらに注目を集めるようになり、騒動後は当店でも前年対比で15%以上の売り上げの伸びを示しました。
⑦ 新型コロナウィルスの影響
2020年1月頃から始まった新型コロナウィルスの感染拡大により、2021年1月に開催予定だった各地の成人式では、延期や中止が相次ぎました。
これは成人式のために振袖を準備しても、肝心の着て行く場がなくなってしまう事を意味するため、2022年以降、成人式を迎える消費者に「はれのひ騒動」以上の衝撃を与えました。
なぜなら、新型コロナウィルスによる式典の中止や延期は、一部地域に限らず、日本国内すべての会場であり得るからです。
そのため「もし振袖を購入(レンタル)しても、成人式が中止になったらどうしよう…」という警戒感から、感染の状況をギリギリまで見極め、振袖の契約を遅らせる消費者が急増しました。
それと同時に、はじめは購入やレンタルを予定していた方も、比較的費用がかからない、ママ振り・姉振り(姉の振袖)・おば振り(おばの振袖)などに、準備方法を切り替えるケースが増えています。
「ママ振り」のデメリット
「ママ振り」には、多くの長所がある反面、下記のような短所もあります。
- 古い母親の着物のため、染み抜きやサイズ直し等のお直しが必要
- 汚れが酷かったり、親子のサイズが大きく違うケースでは、お直し費用が高額になることがある。
- 着用後のお手入れや、保管場所が必要。
- どうしても娘様がママ振りを着たくない場合、この方法は不可。
- ママ振りが家にない(母親の時はレンタル・紛失してしまった)場合、この方法は不可。
「ママ振り」の割合
こちらは、テレビ愛知が2020年1月の名古屋市の会場でとったアンケートですが、「その他34名」の多くがママ振りで成人式を迎えており、レンタルの数には及びませんが、新品の振袖を購入者の数を上回っています。
かつて「成人式の振袖」を準備する方法は、購入・レンタル(貸衣装) の、2つの準備方法が主流でしたが、2010年(平成22年)頃より、母親の振袖で成人式を迎える二十歳の女性が、増えはじめました。
これは、購入やレンタルにない「ママ振り」だけのメリットがあるからであり、現在、成人式の会場で、約2~3割の新成人が「ママ振り」や、姉・おばさんの振袖を着ていると言われ、購入・レンタルに次ぐ、3つ目の準備方法として注目されています。
「ママ振り」の平均費用
年間200枚以上「母親の振袖」を甦らせているママ振り専門店「きものやまなか」の集計によると、ママ振りにかかる費用は 平均12~15万円となっています。
この価格には、クリーニング・サイズ直し・小物のアレンジ等の費用が含まれます。
ニュース・メディアで取り上げられた「ママ振り」の話題
中日新聞 平成23年1月8日 夕刊

NHK「ほっとイブニング」 平成25年1月7日(月)
名古屋テレビ「ドデスカ!」平成27年 1月14日
「ママ振り」に関する商標登録
現在「ママ振り」に関連する呼び名は、3社により、4つの商標が登録されています。(登録日が早い順に掲載)
① ママ振り(ままふり)
登録番号: 5847236
商標:「ママ振り」
区分35
出願人: 株式会社すずのき
出願日: 2015年(平成27年)12月 3日
登録日: 2016年(平成28年) 4月28日
② ママ振リメイク(ままふりりめいく)
登録番号: 5869512
商標:「ママ振リメイク」
区分37 、40
出願人: 合資会社山中商店
出願日: 2016年(平成28年)2月26日
登録日: 2016年(平成28年)7月29日
③ さが美のママ振袖(さがみのままふりそで)
登録番号: 5935295
商標:「さが美のママ振袖」
区分35 、40
出願人: 株式会社さが美
出願日: 2016年(平成28年) 9月21日
登録日: 2017年(平成29年) 3月24日
④ ママ振袖(ままふりそで)
登録番号: 5946050
商標:「ママ振袖」
区分35
出願人: 株式会社さが美
出願日: 2016年(平成28年)11月18日
登録日: 2017年(平成29年) 5月12日
ママ振り専門店「きものやまなか」
全国でもめずらしいママ振り専門店「きものやまなか」は、年間200枚以上の「お母さまの振袖」をよみがえらせ、その実績は、多くのテレビ・新聞などのメディアで取り上げられています。
「成人式はママ振りで」とお考えのかたは、ぜひ一度ご相談ください。
お母さま・お嬢様の想いを大切にしながら、思い出に残る成人式のお手伝いをさせていただきます。
くわしくは下記のページをご覧下さい。