「お宮参り着物」父方・母方どちらの【家紋】を入れる?
2019/07/19
男の子のお祝着には【父方の家紋】をいれます
男の子の「お宮参りのお祝い着」を新たに購入した際、赤ちゃんのお名前が「山田太郎くん」でしたら、通常は「山田家の家紋」つまり「父方の家紋」を入れます。
(赤ちゃんのお父さまが婿養子の場合は「母方の家紋」となります)
また、母方でその初着をご準備されたとしても、入れるのは基本的に「父方の家紋」です。
うしろ
前
家紋をいれる位置については、後ろの背中に1つ・袖に2つ、前は胸の位置に2つで、合計5つの家紋をいれます。
紋の入れ方については、かりに紋の種類が「違い鷹の羽」でしたら、写真のように丸で囲み、摺り込み紋という技法で入れるのが一般的です。
このように「男の子の初着」には必ず家紋を入れますので、写真のように紋をいれる位置に柄が入らないようデザインされています。
男の子の初着をレンタルしたら家紋はどうする?
では、男の子のお宮参りの初着をレンタル(貸衣装)にした場合は、家紋はどうなるのでしょうか? この場合2つのパターンに分かれます。
1⃣ 家紋を入れずにそのまま着せる
本来、男の子のお祝着には家紋をいれますが、最近はネットを利用する若い方を中心にこの「昔ながらの慣習」にこだわらないお客様も増えてきました。
また貸す側としても、家紋を入れない方がコストもかからずお値打ちに提供できるので、楽天・ヤフーなどの通販サイトを中心に、家紋を入れずそのまま貸し出すお店が増えてきています。
またオプションとして、シールのようにカンタンに貼れる紋を用意するお店もありますが、このサービスを扱っているお店が少ないのと、レンタルを利用されるお客様は、できるだけ費用をおさえる傾向があるため「家紋なし」でそのまま使用されることが多いようです。
2⃣ 家紋がすでに入っている
あともう一つのパターンとして、上のような「五三の桐」と呼ばれる家紋がレンタル用の衣装にすでに入っていることがあります。
この紋はオールマイティ的な意味合いをもつ便利な家紋で、結婚式できる黒留袖や、お葬式用の喪服の貸衣装用の家紋としても広く使われています。
またそれ以外にも「違い鷹の羽」「横木瓜」「剣片喰」など、男の子らしくよく使われる紋をすでに入れてあるレンタル品もあります。
(※ こちらのショップは別途料金で貼り紋のサービスもしています)
お家の紋とは違うかもしれませんが「紋の種類にこだわりはないけど、男の子なので見栄えのする家紋入りの着物を着せてあげたい」とお考えの方は、利用してみてはいかがでしょうか。
「家紋なし」「家紋違い」の初着で気をつける事
ただ、この男の子のレンタル品の家紋について、一点だけ気をつけて頂きたい事があります。
このレンタル品を利用されるのは若い世代の方が多いのですが、お宮参りの当日、何も知らされていないおじい様・おばあ様がその祝い着をご覧になった際、
「男の子なのに家紋が入ってないじゃないか?」
「うちの家紋と違うじゃないか?」
と、ご不満をもらすケースがあります。
繰り返しになりますが、本来「男の子の祝い着」には家紋を入れるのが決まりです。
当店でも男の子のお祝い着を新しくご購入いただいた際は、皆様かならず正式な家紋を入れます。
そのため、昔ながらの慣習にこだわりがない祖父母さまでしたら構いませんが、きちんとしたお考えをお持ちのおじい様・おばあ様がいらっしゃるようでしたら、貼り紋でもいいので、正しい家紋を入れた初着でお宮参りをされることをおススメいたします。
女の子のお祝着には家紋は入れません
いっぽう「女の子のお宮参りの着物」には、基本的に家紋は入れません。
当店でも、女の子の産着に家紋を入れたのは、ここ10年で一度もなかったように思います。
またメーカー側も「女の子のお祝着」については、紋を入れる事を想定しないデザインで制作することが多く、かりに紋を入れようとしても、写真のように紋を入れる位置に柄が描いてあることがあります。
ただ一部の地域では、今でも「一つ紋」を入れるところもあるようですので、詳しくはお住まいの地域の呉服屋さんに問い合わせてみて下さい。
また、昔は女の子でも家紋を入れる事があり、20年以上前の女の子の初着をクリーニングなどでお預かりした際は「一つ紋」や「三つ紋」入りの祝い着をたまに目にします。
家紋についての解説は以上ですが、何かご不明な点やご質問がございましたら、お電話かメールにてお問い合わせください。