【借りた着物】を返す時のお手入れとマナー
2018年12月07日
借りた着物はクリーニングしてお返しするのがマナーです
最近は、ご自分の和服を持っている方も少なくなってきたため、結婚式や成人式などで、友人や知人から着物や帯を借りてご出席される方がいらっしゃいます。
その借りた着物をどのようにしてお返しするかですが、これは言うまでもなく、必ずクリーニングや汚れを落としてからお返しするのが、最低限のマナーです。
かりに貸してくれた側から「着た後は何もしなくて、そのまま返してくれれば良いわ」と言われても、言葉どおり受け取ってはいけません。
日本人は その点、以心伝心と言いますか、暗黙の了解と言いますか、口に出さなくても、内心「そんな事ぐらい言わなくてもわかるでしょ」的な考え方を持っています。
実際、貸した側の方が「そのままで良いよ」と言ったら、本当に何もせず、シワくちゃのまま着物を返却され、しぶしぶご自分でクリーニングにお持ちになるケースがよくあります。
そんなお客様は決まって、
「まさか、本当に何もせず返すとは思っていなかった・・・」
「普通はクリーニングしてから返すよね? 」
「もうあの人には、ゼッタイ着物を貸さない(怒)」
などなど、本人には言えない分、その経緯や愚痴を私にお話しされてから、帰られて行きます。
借りた着物をクリーニングに出す時の3つのポイント
では、借りたお着物をクリーニングに出す際、気を付ける点は何でしょうか?
ポイントをまとめてみました。
① 着用前の汚れがないかを確認しましょう。
② 着用後の汚れがないかを確認しましょう。
③ 出来るだけ早く和服専門のクリーニング店に出しましょう。
① まずは着用前に汚れがないかを確認しましょう。
この①の作業はとても大切です。
なぜなら、着用前に汚れていたとしても、貸した側は意外と気づいていないケースがよくあるからです。
そしてこの確認をせずに着てしまうと、その汚れが元々ついていたものなのか、自分がつけた汚れなのかが分かりません。
トラブルの原因ともなりますので、必ずご着る前に汚れやほつれ等がないかをチェックしておきましょう。
脇のほつれ
② 着用後は、自分がつけた汚れがないか確認しましょう。
和服を着た場合、どんなに気を付けていても汚れはつくものです。
襟元のお化粧の汚れや、結婚式などでお食事をしたときは、食べこぼしや、飲み物の染みがつく事がありますので、チェックしておきましょう。
そして雨が降った場合などは、裾回りなどに泥ハネついていたり、雨ジミになっているこもありますので要注意です。
③ 出来るだけ早く和服専門のクリーニング店に出しましょう。
着物の汚れは時間が経てば経つほど、落としにくくなってしまいます。
着終わったあとは、着物ハンガーなどで半日~1日程度 陰干しをし、出来るだけ早めに和服専門のクリーニング店に出しましょう。 ⇒ 着用後の着物のお手入れの仕方
着物ハンガー
またクリーニングに出す時、もし汚れがついている箇所が分かっているなら、お店の人に「〇〇に汚れがついているので、よろしくお願いします」と伝えておきましょう。
そして、仕上がり予定日がわかり次第、先方に「○月○日頃にクリーニングが仕上がってくるので、でき次第すぐにお返しします。」と、返却の予定日を前もってお伝えしておく事もマナーとして大切です。(和服のクリーニングは洋服と違い、1~2カ月かかります)
【パールトーン加工済みのお着物のお手入れ】
お着物や帯によっては、パールトーンガード加工と呼ばれる撥水加工が施してあることがあります。この加工済みのお着物は、必ずパールトーン取扱店に出しましょう。加工済みのお着物を普通のクリーニングでお手入れしてしまうと、撥水効果が減退することがあります。⇒ 全国のパールトーン加工取次店はコチラ
借りた着物をネットのクリーニング店に出すのはOKか?
では、その借りた着物のクリーニングをネットの業者に出すのはどうでしょうか?
実際 その料金の安さから利用される方が昔に比べ、かなり増えています。
これについてのお答えですが、基本的に借りた着物のクリーニングを ネットの業者に出すのはやめておかれた方が良いと思います。
なぜなら、クリーニングの品質自体はそれほど変わりませんが、貸した側の方が「私の大切な着物をネットの業者に出すなんて…」と思われる事もあるからです。
また、ネット業者に出したことを黙っていたとしても、着物を包んでいるたとう紙(文庫)や、クリーニングタグなどに店舗の名前が記載されていることもあり、すぐにネットで出したことが、先方に分かってしまう可能性もあります。
そのため、ご自分の和服なら構いませんが、他人から借りた和服のクリーニングは、ネットではなく、店舗を構えるお店に直接持ち込む方が無難でしょう。
自分でクリーニングに出さない方が良いケース
さて、この着物お手入れですが、ご自分でクリーニングに出さない方が良いケースもあります。
それは持ち主の方が、その着物を大切に思っておられ「お手入れに出すのは、必ずこのお店」と決めておられるケースです。(たいていの場合は、その着物を購入したお店である事が多いです。)
つまり「着たあとは何もしなくていいわよ」という言葉の真意が「この着物のお手入れは、いつもお願いしているお店があるので、勝手に知らないお店に出さないで」という意味でおしゃっている事があります。
そもそも、そのような大切な着物は あまり人には貸さないので、レアケースではありますが、可能性としてゼロではないので確認が必要です。
そして、もしこれに該当する場合は、何もせず丁寧にお返しだけにして、それにかかるクリーニング費用の負担を申し出るか、その料金に相当する御礼の品(菓子折りなど)をお渡し、感謝の気持ちをお伝えしましょう。
これらの事をするのが面倒なら・・・
ここまで色々とお話してきましたが、先方に気をつかったり、着る前のチェックや 和服専門のクリーニング店を探す手間など「借りた着物のお手入れって、けっこう面倒ね・・・」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、買えば何十万もする物を タダで借りるわけですから、ある程度の手間や責任が伴うのは仕方がないことです。
そしてもし、これらの手間がどうしても煩わしいのであれば、人から借りるのはやめて、貸衣装店などでレンタルすることをおススメいたします。
貸衣装であれば、気楽に着る事ができますし、着用後もそのままお店に返却するだけで、お手入れ等の手間はいっさい不要です。また費用に関しても、最近はネットを中心に、とてもお安くレンタルできるようになってきました。
和服のクリーニングは「やまなか」にお任せ下さい!
もし、知人や友人から借りた「大切な着物」をお手入れに出されるのであれば「きものやまなか」まで御相談ください。
当店は 創業160年の呉服専門店として、素材を見極める目を持っています。クリーニングで持ち込まれた着物は、生地を痛めない最適な方法をご提案し、一点一点丁寧に仕上げていきますのでお気軽にご連絡ください。
また、パールトーン取扱店でもありますので、加工済の御品も安心してお持ち下さい。