ママ振袖の【小物レンタル】の長所と短所
2017/12/29
ママ振りの小物レンタルサービスとは?
「お母さまの振袖」を着てご出席されるお嬢様が増えていることは、皆さまもうすでによくご存じかと思いますが、最近 ママ振りの 小物レンタルサービス を利用される方がいらっしゃいます。
この「ママ振り小物レンタル」とは、振袖は お母様の晴れ着をそのまま使い、小物だけをレンタル(借りる)というプランです。
(ちなみに「やまなか」では、小物のレンタルはしておりません。)
このプランの魅力は、もともとお値打ちな「ママ振リメイク」が、小物をレンタルにする事により さらにお安く済むという点です。
このプランを取り扱っているお店の多くは、私共のような呉服店系のお店ではなく、写真館系や 貸衣装店系のお店に多いのですが、ここ最近 他店で「ママ振り小物レンタル」を利用しようとしたけど、満足できなかったため「やまなか」に再びコーディネイトの御相談でお越しになるお客様が 後をたちません。
私としても「お母様の振袖」で成人式に出席されるお嬢様が増え、いろいろなお店がママ振りに取り組んで頂けるのは嬉しい限りですが、お店やプランによっては後悔されるお客様がいらっしゃる事はたいへん残念です。
そのため今回は、ママ振の小物レンタルサービスを利用するにあたって気を付けておきたい事を書きたいと思います。
ママ振の小物をレンタルにして後悔した理由
小物のレンタルサービスでは気に入らず「やまなか」でリメイクをやり直したお客様に直接 お話しを伺うと、不満だった理由は大きく分けて次の2つです。
① 小物のクオリティが低く、コーディネイトが気に入らない。
② 成人式以外でママ振りを着る事ができない。
では具体的に、どんな点がご不満だったのでしょうか。詳しく解説していきたいと思います。
① 小物のクオリティが低く、コーディネイトが気に入らない。
「ママ振の小物レンタル」を利用されるお客様の多くが 初めてのことなので、買うのもレンタルするのも同じような小物がついてくると 最初は思っておられます。
しかし実際お店に行ってみると、レンタル用の小物は素人目にみても クオリティが低く、パールやレースがついた現代風のものばかり。点数やバリエーションも少なく、ビックリされたそうです。
とくに 当時100万円以上で購入されたような 高額なお母様の振袖に「そんな小物を合わせるのか・・・・」と、思わず絶句するようなチープなコーディネイトをされていることもよくあり「そのお着物が持っている良さ」を見事なまでに消し去っているお写真を今まで何度も見せてもらいました。
さらに、コーディネイトにかける時間は平均20~30分程度で、お店によってはレンタル用の小物が5点ほどしかなく、10分で終わってしまったというお話も伺いました。
ホームページやダイレクトメールには「経験豊かな専門スタッフが丁寧にアレンジします!」と うたってあったので、それを信用しお客様はお店に行ったそうなのですが、和服の事をまったく知らないお客様から見ても、コーディネイトに関しては 明らかに経験が少ない店員さんだったようです。
こういったご不満は、フォトスタジオ・写真館系のお店で小物レンタルされたお客様からよくお聞きするのですが、やはり写真が本業のため 撮影に関してはプロであっても、小物の品揃えやコーディネイトまでは なかなか行き届かないようです。
さらに ママ振りを着る上で大切な「染み抜きやサイズに関する御相談」は、ほとんど見てもらう事ができず、かりにお願いしても「これ位なら、このままで大丈夫だと思いますよ~」みたいな感じで軽く流されるケースが多いようです。
ただ 私があらためて拝見させて頂くと、汚れやサイズに関しても直しておいた方が良い箇所が何か所も見つかり「これのどこが大丈夫なのだろうか・・・」と思ったことが一度や二度ではありません。
ちなみに 小物レンタルをしていない「きものやまなか」の場合、帯揚げ・帯締め・刺繍半衿などのコーディネイトには、汚れやサイズの確認も含めると、2時間30分以上の時間をかけ、300種類以上ある最新の小物の中から お嬢様が一番キレイに見える御品を決めていきます。
時間に関しては、お嬢様・お母様・お父様・おばあ様など ご来店頂いた全員が納得されるまで 私はやめませんので、3時間以上かかる時もあります。(そのため一日3組までの完全ご予約制になっています。)
このように 小物アレンジへの取り組み方や品揃えは そのお店によって様々ですので、予算を出来るだけ抑え、小物のコーディネイトに特にこだわりがないのであれば レンタルされるのも良いかと思いますが、そうでないのであれば色々なお店を比較してみる方が良いでしょう。
② 成人式以外でママ振を着る事ができない。
「お母様の振袖」を着ることには、
● 新たに着物を買わなくていいので お値打ちに済む。
● お友達の振袖とカブる可能性が ほとんどない。
● 親子3代で 成人式の思い出を共有できる。
など たくさんの良い点がありますが、その中でも大きなメリットとして「成人式以外で何度も着ることができる」という点が挙げられます。
昔に比べると結婚式などで振袖姿を見かけることが 少なくなったのは事実ですが、この一番の原因は、成人式を貸衣装で済ます方が増えてきたからで、けっしてお若い方々の和服に対する興味や憧れがなくなってしまった訳ではありません。
実際「やまなか」のお客様のように、お手持ちの振袖をきちんと活用された方は、成人式後も結婚式・パーティー・初詣・卒業式など、お嬢様がお嫁入りされるまで何度も振袖を着用されます。
しかしいったん 小物をレンタルにしてしまうと、成人式が終わった後 ふたたび振袖を着ようと思っても、小物はすでに返却しているため、呉服屋さんで新たに買い直すか、結局は面倒になってしまい ドレスなどのお洋服で出席するケースがほとんど。
その後、お母様の振袖は「タンスの肥やし」として永遠に眠りつづけ、二度と日の目を見る事はありません。
そのため、小物だけの買い直しで御来店された多くのお客様が「こんな事なら成人式の時にいいのを買っておけば良かった。。。」と口を揃えておっしゃいます。
このような点から「成人式以外で振袖を着る事はゼッタイにない」という方であれば、小物をレンタルされても良いと思いますが、お母様の振袖に想い入れがあり、これからもこの着物を大切に活用されていきたいのであれば、その着物にあった帯揚げや帯締めなどをご購入されておく方が良いと思います。
さて、以上がママ振りの小物レンタルについての解説でしたが、どのプランが皆様にとって最適なのかは、その方の成人式に対する意識や、思い入れ・着用頻度などによって変わってきますので、お嬢様と相談して検討してみましょう。
お客様のご紹介
さて、本日も「ママ振り」を上手に活用された「やまなか」のお客様のご紹介です。
まずは お母様の時のお写真からどうぞ!
白地で絞り入りのとても素晴らしい振袖でしたが、御品を拝見させて頂いたところ、白地の部分や裏地まで かなり変色が進んでいました。
お嬢様とお母様のご身長も違うため、今回のケースでは 振袖を全部ほどいて反物に戻し、きれいに汚れを落としてから、お嬢様のサイズに仕立て直す作業をいたしました。
もちろん、帯揚げ・帯締め・髪飾りなどの小物もお嬢様用にあらたに購入して頂きました。 出来上がったお写真がこちらです!
笑顔がステキなとても可愛いお嬢さまでしたが、変色や汚れもきれいになり、新品同様のお美しい着姿となりました。
そして今回は、小物だけでなく帯も新しくして頂きました。
帯は 着物の次に着姿に占める割合が大きく、変わり結びにしますので 後ろ姿がとても華やかになります。
こちらのお写真を「やまなか」の公式インスタグラムに掲載したところ、あっという間に1,000を超える「いいね!」と たくさんのコメントが寄せられ、まさに今流行りのインスタ映え状態ですっ (お気軽にフォローして頂けると嬉しいです!)
さらにこちらのお嬢様は、成人式だけでなく、お兄さまのご結婚式にもこの振袖を着用され、卒業式の袴姿にも合わせるご予定です。
このように、その振袖に合った小物や帯を揃えておけば、昔のものとは思えないほど 美しい着姿で お写真をたくさん残すことができ、成人式以外で何度も着ることができます。
「成人式は お母様の振袖で」とお考えの方は、このブログに掲載しているたくさんのお客様の事例を御覧になりながら、ぜひ思い出に残る成人式をお迎え下さいね。
お母様からの御感想