喪服の着物は必要か?
2024年11月13日
喪服の着物をつくる割合
「きものやまなか」店主の山中邦彦です。
今回は「喪服の着物は今でも必要でしょうか?」という質問をよくお受けしますので、お答えさせていただきます。
「きものやまなか」のお客様データをしらべてみると、お嬢さまが28歳までになるまでに約6割の方が喪服の着物をご用意されます。
昔にくらべると着ることが少なくなった喪服ですが、今でも多くの方が喪服をおつくりになるのはナゼでしょうか?
その3つの理由を解説します。
喪服をつくる3つの理由
①明日着なければいけない喪服
結婚式に着る黒留袖などは、半年ぐらい前に連絡あるので、いま持っていなかったとしても、準備するだけの時間が十分にあります。
しかし喪服については、明日もしくは明後日着なければいけないというケースがあるので、持っていないと間に合いません。
また病人が出てからでは、いかにも亡くなるの待っているようで、準備はしにくいもの。
そのため喪服については、ご家族が健康な時におつくりになる方がほとんどです。
あと「喪服はレンタルで」という方もおられますが、どこの・誰が・どんな悲しい席で着たかわからない着物を皆さんは着たいと思いますか?
ひょっとしたら、あなたが借りるその「貸衣装の喪服」は、悲惨な事件や事故で家族が亡くなり、遺族が泣き叫ぶ葬儀で使われたものかもしれません。
これはあくまで 私の個人的な意見ですが、喪服をレンタルで済ますなら、洋服で参列された方が私は良いと思います。
②嫁入り道具としての喪服
名古屋は皆様もご存知のとおり「お嫁入りの仕度が派手」という事で知られています。
そのため、昔なら嫁ぎ先のお母様にどの着物を嫁入り道具としてお持ちすれば良いか、お伺いを立てたものです。
しかし今の時代 そのような事をたずねても、先方はこちらに気を使い、
「何も持ってこなくていいですよ。」
という返事しか返ってきません。
ではその言葉どおり、何も持って行かないと今度は、
「〇〇さん、本当に何も持って来なかったのね…」
なんて言われたりします。
実際に私共のお店でも、嫁いだ後にお姑さんから嫌味を言われ、しぶしぶ実家のお母さまと喪服を買いに来られる方があとを絶ちません。
そんな事なら最初から言ってよ!とツッコミを入れたくなりますが、
「喪服ぐらいは、何も言わなくても用意してくるでしょう。」
という意識は、今でも根強く残っています。
昔のようにタンスに入りきらない程、着物を用意する必要はないと思いますが、必要最低限のお仕度は準備しておいた方が良いのではないでしょうか。
かりに喪服を着ることが、しばらくなかったとしても、
「お嫁さんのご実家は、きちんとしたご家庭なんだな」
ということが、先方のお母さまにもおわかり頂けると思います。
③御守りとしての喪服
愛知や名古屋 の慣習では、喪服の家紋は嫁ぎ先ではなく、ご実家の家紋を入れます。
そしてこれには意味があります。
喪服についている5つの家紋は、ご実家のご先祖様や両親をあらわし、嫁いでからも「御守り」として、お嬢さまを災難・病気などから守ってくれると云われています。
つまり、喪服を着るという事は、家族の愛に守られている証であり、日本独特の文化です。
人が身につける衣装は時代と共に変化していきますが、喪服と家紋に関する考え方は、日本人として大切にしていきたいですね。
喪服を着る意味
「喪服をつくる3つの理由」をお話させて頂きましたが、葬儀に参列する 一番の目的は、亡くなられた方へ、お世話になった感謝の想いを伝えることです。
喪服は家紋が5つ付いている日本女性の第1礼装(最も格が高い装い)ですので、この想いを伝えるのに最適な衣装です。
とくにお亡くなりになったのが、ご両親・ご主人であった場合、その想いはひと言では言い尽くせないでしょう。
もし「喪服の着物が必要なのか」をお考えになる時は、先ほどお話した3つの理由以外に、あなたならどんな装いでこの想いを最愛の人に伝えるか考えてみてください。
さらに、娘さまの嫁入りの支度としてお考えになる場合は、ご自分の旅立ちの時「どんな想いと装いで見送ってもらいたいか?」「日本人としてどんな女性でいてほしいか?」もあわせてお考えになってみて下さい。
喪服販売店 きものやまなか
創業161年の老舗呉服店「きものやまなか」では、生地・染めにこだわったオリジナル喪服を販売しております。
きものやまなかオリジナル喪服セット | |
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価格 | 338,000円(税込) |
夏冬20点セット内容 |
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