結婚後も振袖を着て良い場合・ダメな場合とは?
2025年02月20日
既婚者でも成人式はOK・結婚式は基本的にNG
きものやまなか店主の山中邦彦です。
一般的に「振袖は未婚者の着物」とされていますが、既婚者の方から「振袖を着たいのですが…」という質問をよくお受けしますので、お答えさせていただきます。
成人式では、既婚者やお子様がいる方が振袖を着ても大丈夫です。
結婚式では、基本的にNGとされています。
今回は既婚者の振袖着用や、既婚者でも振袖を着てOKなケース・結婚後の振袖の活用についてくわしく解説します。
成人式への出席
質問
来年、成人式に出席しますが、現在19歳の私は結婚しており子供もいます。
「結婚したら振袖は着られない」と、どこかで聞いたのですが、振袖を着たらダメでしょうか?
これについてのお答えですが、19・20歳の既婚者が振袖を着て成人式に出席しても、まったく問題ありません。
振袖には、たしかに「未婚者の着物」という意味もありますが、同時に「二十歳の女性の晴れ着」としての意味もあり、その場合、既婚・未婚・離婚歴の有無・お子様がいらっしゃるかどうかは、まったく関係ありません。
これは、お母さまの時代(20~30年前)からすでにそうであり、私の頃の成人式(30年前)でも、結婚して子供がいる同級生の女の子が振袖を着て出席していました。
今の時代においても、新成人が500名以上集まる大きな会場でしたら、振袖を着た既婚者が何人かいらっしゃるはずです。
また当店でも毎年、既婚者のお客さまが振袖を着て成人式に出席されています。
つまり今の日本において、既婚女性であっても振袖で成人式を迎えることは、慣習・文化として定着しています。
そんな中、もし「結婚している人は成人式で振袖を着てはいけない」となったら、それこそ今の時代、既婚女性やお子様がいる方に対する差別として、たいへんな問題になるでしょう。
はたちの成人式で振袖を着ることは、日本に生まれた全ての女性の特権ですので、出席する際は、お気に入りの振袖を着て、ご友人と楽しい時間をお過ごし下さい。
結婚式への出席
いっぽう結婚式への出席についてですが、基本的に「既婚者が結婚式で振袖を着るのはNG」とされています。
とくに親戚関係の披露宴では、多くの方があなたが結婚しているかどうかをご存知なはずで、
「えっ? ○○ちゃん、たしか結婚してるはずじゃ…」
と、まわりの方(とくにご年配の方)に、誤解やマナー違反という悪い印象を与えかねませんので、振袖を着るのは基本的にやめておかれた方が良いでしょう。
さらに、嫁ぎ先のご親戚の結婚式では、まわりとの関係がうすい分、
「○○君のお嫁さん、振袖なんか着てるけど大丈夫?」
と、後ろ指さされる感じで言われる可能性もありますので、近しいご親戚の結婚式よりさらに注意が必要です。
ただ一方で、次のような質問をお受けしたこともあります。
質問
現在23歳で2ヵ月前に結婚したのですが、今月友人の結婚式に出席します。
購入した振袖をとても気に入っていたのですが、まだ成人式と卒業式の2回しか着ていません。
結婚して間もないですし、友だちもみんな振袖を着るというので、私も最後にもう一度着てみたいです。ダメでしょうか?
このケースでは質問者が、
- 23歳とお若い
- 結婚してから2ヵ月しかたっていない
- 友人として出席
- 他の友人も振袖を着る
などの点を考えると、かりに振袖を着て出席したとしても、会場で質問者が結婚しているかどうかを知っているのは、おそらく同じテーブルの親しい友人と新郎新婦さまぐらいでしょう。
さらに友人も振袖を着るという事で、はたから見ても「まぁ~ 若いお嬢さんが振袖を着て華やかね」としか見えず、会場でもまったく違和感がないと思います。
当店でも同じようなケースで、振袖を着たお嬢さまがおられましたが、とくに何の問題もなく、逆に新郎新婦からも会場が華やかになったと喜んでいただけたそうです。
つまり大切なのは、他の出席者があなたの振袖すがたを見て、違和感や不快感を感じるかどうかであり、その心配がないのであれば、わたくし個人的には、既婚者が結婚式で振袖を着ても問題ないと思います。
既婚者が結婚式で着る着物は?
では、既婚者が披露宴で着る和服は何が良いのでしょうか?
ご親戚と友人・職場関連の2つのケースで解説します。
ご親戚の結婚式
ご親戚の結婚式で既婚者が着る和服は、黒留袖・色留袖・訪問着のいずれかが多いです。
黒留袖・色留袖・訪問着
- 黒留袖…地色が黒で裾にだけ柄があり、五つ紋を入れます。
- 色留袖…華やかな地色に裾にだけ柄があり、三つ紋か一つ紋を入れます。
- 訪問着…華やかな地色に肩・袖・裾に柄があり、基本的に紋は入れません。
どの和服を着るかは、他の方とのバランスもありますので、身内の方と相談してお決めください。
ちなみに、昔は若い方でも黒留袖が多かったのですが、最近の20代・30代の既婚者は、色があって華やかな色留袖や訪問着をお召しにあるケースが増えています。
友人・職場関係の結婚式
訪問着
訪問着
ご友人・職場関係の披露宴に招待されたときは、色留袖・訪問着・付下げ・色無地などが良いでしょう。
当店のお客様ですと、上の写真のような上品で華やかな訪問着をお召しなる方が一番多いです。
また、黒留袖については、あくまで新郎新婦の親族が着る和服なので、友人・職場関連の式ではNGです。
未婚者が振袖を着る理由
ではどうして「振袖は未婚者の着物」とされているのでしょうか?
振袖が未婚者の着物とされている理由は、昔から「袖が長い振袖は未婚者の着物」という考えが定着しているからです。
例えば、江戸時代では、女性は自分の気持ちを言葉で表現することがはばかられていたため、振袖の長い袖は、女性が男性に気持ちを伝える手段として用いられていました。
女性は横から横へ袖を振ると好意があることを、前後に振ると嫌悪感を表すなど、袖の振り方によって気持ちを表現してと云われています。
また、当時は結婚しているかどうかを判断するのが難しかったため、振袖は女性の婚姻状況を視覚的に示す役割も果たしていました。
結婚した女性は、誤解を避けるために振袖の長い袖を切り落とすことが一般的になり、それが留袖の起源と言われています。
そして現代でも、この慣習は受け継がれており、振袖は結婚式などフォーマルな場での未婚女性の服装として広く認識されています。
このように男女間でアプローチする際の「目安」としても、昔も今も振袖が役立っているというのは興味深いですね。
振袖は何歳まで着られるのか?
「振袖は何歳まで着られるの?」という質問もよくお受けしますが、年齢についての決まりはありません。
振袖は「未婚者が着るフォーマルの和服」というルールがあるだけです。
しかし、だからと言って、50代・60代の未婚者が振袖を着るのは常識的におかしいですよね。
この点については「30歳」をひとつの目安として考えておられる方が多いようです。
くわしくは下記のブログにて解説しておりますので、ご覧ください。
既婚者でも振袖を着ることができるケースは?
いっぽう既婚者が振袖を着て大丈夫なケースもあります。
花嫁さまのお色直し
親族の披露宴で招待された既婚者の振袖着用はNGとされていますが、花嫁さまご本人のケースは別です。
当店のお客さまでも「お色直しの衣裳」として、振袖を着用される花嫁さまが毎年数名いらっしゃいます。
上の写真は実際に当店のお客さまが、お色直しで振袖を着用された時のもので、とてもステキでした。
とくに格調高い古典柄をお持ちの方は「最後の着用機会」として、ご自身の披露宴でお召しになってみてはいかがでしょうか。
また、披露宴で着たあとは、きちんとお手入れをして、これからも大切に保管しておくことをお勧めします。
なぜなら、最近は「ママ振り」と言って、母親の振袖を成人式で着ることがブームとなっております。
すこし先の話になりますが、もし女の子がお生まれになったら、再び着てもらえるかもしれません。
舞台衣裳として着る
踊り・カラオケ大会などのイベントで振袖を着て歌ったり、踊ったりする場合も、未婚・既婚は関係ありません。
さらに言えば、年齢も関係ありません。
50代・60代、それ以上であっても大丈夫です。
なぜならこのケースでは、振袖をあくまで「舞台衣裳」として着るので、一般的な冠婚葬祭のTPOは当てはまりません。
とくに振袖は袖も長く豪華なため、舞台映えする衣裳として最適です。
実際、NHK紅白歌合戦や歌番組などで、既婚者の演歌歌手(40~60代)が振袖を着て歌っていますが、違和感なく、むしろそのイメージにピッタリの映像として視聴者の目にはうつります。
もし、あなたのお母様・おばあ様が、地元のカラオケ大会・踊りの会に振袖を着て出演するなら、ぜひ会場まで足を運び、盛大な拍手で迎えてあげましょう。
海外のパーティーで着用
以前、海外にお住まいの40代の既婚者の方から、
「日本人がいない外国のパーティーで、振袖を着て出席するのはダメでしょうか?」
という質問をお受けしたことがあります。
何を着て出席するかは、その国のマナーやパーティーの主旨にもよりますが、未婚・既婚という点で申し上げるのなら、既婚者が振袖で出席されてもOKだと思います。
なぜなら、日本人不在のパーティーでしたら、まわりの目には、
「日本女性が美しく豪華な民族衣装 Kimonoを着ている」
と映るだけで「袖が長いFurisodeと呼ばれるKimonoは独身女性が着るもの」と知っている方は、よほどの日本ツウでない限りまずいないでしょう。
また知っている方がおられたとしても、そこは海外ですので、とくに気にする必要はありません。
もし「豪華な衣裳OK・民族衣装もOK」という華やかなパーティーでしたら、ぜひ既婚者の方も年齢を気にせず、振袖を着て出席してみてください。(もちろん訪問着・付下げでも大丈夫です)
とくに海外の方にKimonoはとても新鮮に映るようで、おそらく多くの方から「ぜひ一緒に写真をとってほしい!」と頼まれるはずです。
実際、当店でもお客さまの着物姿をアップしたインスタグラムを運営しておりますが「いいね!」やコメントをくださるのは、海外の方がとても多いです。
もし機会があれば、日本が誇る民族衣装「Kimono」を世界の皆さまに知っていただくためにも、和服でパーティーに出席していただけると、呉服屋としても嬉しいです。
結婚した後の振袖はどうする?
結婚後、着なくなった振袖はどうすれば良いのでしょうか?
おもに5つの活用術があります。
この5つの活用法については、こちらのブログ記事をご覧ください。
振袖のことなら「きものやまなか」
振袖のことなら、この記事を書いた山中邦彦が店主をつとめる、創業162年「きものやまなか」にお任せ下さい。
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