結婚後も振袖を着て良い場合・ダメな場合とは?
2024年10月06日
既婚者でも成人式はOK・結婚式は基本的にNG
きものやまなか店主の山中邦彦です。
一般的に「振袖は未婚者の着物」とされていますが、既婚者の方から「振袖を着たいのですが…」という質問をよくお受けしますので、お答えさせていただきます。
成人式では、既婚者やお子様がいる方が振袖を着ても大丈夫です。
結婚式では、基本的にNGとされています。
今回は既婚者の成人式・結婚式での振袖着用や、既婚者でも振袖を着てOKなケース・結婚後の振袖の活用について解説します。
成人式への出席
質問
来年、成人式に出席しますが、現在19歳の私は結婚しており子供もいます。
「結婚したら振袖は着られない」と、どこかで聞いたのですが、振袖を着たらダメでしょうか?
これについてのお答えですが、19・20歳の既婚者が振袖を着て成人式に出席しても、まったく問題ありません。
振袖には、たしかに「未婚者の着物」という意味もありますが、同時に「二十歳の女性の晴れ着」としての意味もあり、その場合、既婚・未婚・お子様がいらっしゃるかどうかは、まったく関係ありません。
これは、お母さまの時代(20~30年前)からすでにそうであり、私の頃の成人式(30年前)でも、結婚して子供がいる同級生の女の子が振袖を着て出席していました。
今の時代においても、新成人が500名以上集まる大きな会場でしたら、振袖を着た既婚者の方が何人かいらっしゃるはずです。
また当店でも毎年、既婚者のお客さまが振袖を着て成人式に出席されています。
つまり今の日本において、既婚女性であっても振袖で成人式を迎えることは、慣習・文化として定着しています。
そんな中、もし「結婚している人は成人式で振袖を着てはいけない」となったら、それこそ今の時代、既婚女性やお子様がいる方に対する差別として、たいへんな問題になるでしょう。
はたちの成人式で振袖を着ることは、日本に生まれた全ての女性の特権ですので、出席する際は、お気に入りの振袖を着て、ご友人と楽しい時間をお過ごし下さい。
結婚式への出席
いっぽう結婚式への出席についてですが、基本的に「既婚者が結婚式で振袖を着るのはNG」とされています。
その理由として、日本では江戸時代より「袖が長い振袖は未婚者の着物」という考えが定着しているからです。
とくに親戚関係の披露宴では、多くの方が結婚しているかどうかをご存知なはずで、
「えっ? ○○ちゃん、たしか結婚してるはずじゃ…」
と、まわりの方(とくにご年配の方)に、誤解やマナー違反という悪い印象を与えかねませんので、振袖を着るのは基本的にやめておかれた方が良いでしょう。
そしてもし既婚者の方が、親戚の結婚式で和服を着るのであれば、黒留袖・色留袖・訪問着のいずれかを着ることが多いです。
黒留袖・色留袖・訪問着
どの和服を着るかは、他の方とのバランスもありますので、身内の方とご相談してお決めください。
ただ一方で、次のような質問をお受けしたこともあります。
質問
現在23歳で2ヵ月前に結婚したのですが、今月友人の結婚式に出席します。
購入した振袖をとても気に入っていたのですが、まだ成人式と卒業式の2回しか着ていません。
結婚して間もないですし、友だちもみんな振袖を着るというので、私も最後にもう一度着てみたいです。ダメでしょうか?
このケースでは質問者が、
- 23歳とお若い
- 結婚してから2ヵ月しかたっていない
- 友人として出席
- 他の友人も振袖を着る
などの点を考えると、かりに振袖を着て出席したとしても、会場で質問者が結婚しているかどうかを知っているのは、おそらく同じテーブルの親しい友人と新郎・新婦さまぐらいでしょう。
さらに友人も振袖を着るという事で、はたから見ても「まぁ~ 若いお嬢さんが振袖を着て華やかね」としか見えず、会場でもまったく違和感がないと思います。
当店でも同じようなケースで、振袖を着たお嬢さまがおられましたが、とくに何の問題もなく、逆に新郎・新婦からも会場が華やかになったと喜ばれ、まわりの方にも褒めてもらえたとお話しされていました。
つまり大切なのは、他の出席者があなたの振袖すがたを見て、違和感や不快感を感じるかどうかであり、その心配がないのであれば、わたくし個人的には、既婚者が結婚式で振袖を着ても問題ないと思います。
既婚者でも振袖を着ることができるケースは?
いっぽう既婚者が振袖を着て大丈夫なケースもあります。
花嫁さまのお色直し
親族の披露宴で招待された既婚者の振袖着用はNGとされていますが、花嫁さまご本人のケースは別です。
当店のお客さまでも「お色直しの衣裳」として、振袖を着用される花嫁さまが毎年数名いらっしゃいます。
上の写真は実際に当店のお客さまが、お色直しで振袖を着用された時のもので、とてもステキでした。
とくに格調高い古典柄をお持ちの方は「最後の着用機会」として、ご自身の披露宴でお召しになってみてはいかがでしょうか。
また、披露宴で着たあとは、きちんとお手入れをして、これからも大切に保管しておくことをお勧めします。
なぜなら、最近は「ママ振り」と言って、母親の振袖を成人式で着ることがブームとなっております。
すこし先の話になりますが、もし女の子がお生まれになったら、再び着てもらえるかもしれません。
舞台衣裳として着る
踊り・カラオケ大会などのイベントで振袖を着て歌ったり、踊ったりする場合も、未婚・既婚は関係ありません。
さらに言えば、年齢も関係ありません。
50代・60代、それ以上であっても大丈夫です。
なぜならこのケースでは、振袖をあくまで「舞台衣裳」として着るので、一般的な冠婚葬祭のTPOは当てはまりません。
とくに振袖は袖も長く豪華なため、舞台映えする衣裳として最適です。
実際、紅白歌合戦や歌番組などで、既婚者の演歌歌手(40~60代)が振袖を着て歌っていますが、違和感なく、むしろそのイメージにピッタリの映像として視聴者の目にはうつります。
もし、あなたのお母様・おばあ様が、地元のカラオケ大会・踊りの会に振袖を着て出演するなら、ぜひ会場まで足を運び、盛大な拍手で迎えてあげましょう。
海外のパーティーで着用
以前、海外にお住まいの40代の既婚者の方から、
「日本人がいない外国のパーティーで、振袖を着て出席するのはダメでしょうか?」
という質問をお受けしたことがあります。
何を着て出席するかは、その国のマナーやパーティーの主旨にもよりますが、未婚・既婚という点で申し上げるのなら、既婚者が振袖で出席されてもOKだと思います。
なぜなら、日本人不在のパーティーでしたら、まわりの目には、
「日本人女性が美しく豪華な民族衣装 Kimonoを着ている」
と映るだけで「袖が長いFurisodeと呼ばれるKimonoは独身女性が着るもの」と知っている方は、よほどの日本ツウでない限りまずいないでしょう。
また知っている方がおられたとしても、そこは海外ですので、とくに気にする必要はありません。
もし「豪華な衣裳OK・民族衣装もOK」という華やかなパーティーでしたら、ぜひ既婚者の方も年齢を気にせず、振袖を着て出席してみてください。(もちろん訪問着・付下げでも大丈夫です)
とくに海外の方にKimonoはとても新鮮に映るようで、おそらく多くの方から「ぜひ一緒に写真をとってほしい!」と頼まれるはずです。
実際、私もお客さまの振袖すがたをアップしたインスタグラムを運営しておりますが「いいね!」やコメントをくださるのは、海外の方がとても多いです。
もし機会があれば、日本が誇る民族衣装「Kimono」を世界の皆さまに知っていただくためにも、和服でパーティーに出席していただけると、呉服屋としても嬉しいです。
結婚した後の振袖はどうする?
結婚後、着なくなった振袖はどうすれば良いのでしょうか?
おもに5つの活用術があります。
この5つの活用法については、こちらのブログ記事をご覧ください。
振袖のことなら「きものやまなか」
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「やまなか」にて、成人式のご準備をされたお客さまの写真です。
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