振袖を着た後のクリーニングとお手入れ方法
2024年10月24日
振袖お手入れ3つのステップ
きものやまなか店主の山中邦彦です。
振袖や着物を着たあとは、次の順番でお手入れをしておきましょう。
着物お手入れ 3つのステップ
お手入れのポイント
①着物ハンガーに掛け湿気をとる
着物ハンガー
着物ハンガーに振袖・長襦袢・帯をかけ、風通しの良い部屋で陰干をして湿気を取りましょう。
着物と長襦袢は別のハンガーに掛けた方が良いですが、1つしかなければ、重ねて干しても構いません。
色ヤケを防ぐため、蛍光灯など室内の電気は消しておきましょう。
ご注意
ハンガーに干したまま、1週間以上そのままにしておく方がおられますが、生地のたるみや色ヤケの原因になるので絶対に止めて下さい。
ハンガーに掛けて干す時間は1~2日で十分です。
②着物の汚れをチェックしましょう
着物や長襦袢についた汚れをチェックしましょう。
汚れが付きやすいのは、衿・袖底・裾の3箇所です。
衿は口紅などの化粧汚れがつきやすい箇所です。
袖底(そでそこ)は車の乗り降りや階段などで擦ることが多く、裾(すそ)はお天気が悪かった時、泥ハネなどの汚れがついている事があります。
半衿の汚れ
ファンデーションの汚れ
また、長襦袢の半衿はファンデーションなどの汚れがつきやすい箇所です。
とくに最近は、写真のような「刺しゅう半衿」をつけることが多いため、汚れがついたら、しっかりと染み抜きをしましょう。
半衿は外してクリーニングに出す?
半衿は外してしまうと、また縫い付けなくてはいけないので面倒ですよね。
とくに刺しゅう半衿は無地の半衿にくらべ、縫うのがたいへんです。
ただ最近は、ほとんどのお店で半衿を付けたままクリーニングが可能ですので、いちどお店に確認してみてましょう。
ほつれ・サケもチェック
汚れ以外にも、脇がほつれていたり、お尻の部分がサケていたり、いろいろな箇所が痛んでいる事がありますのでチェックしてみて下さい。
脇のほつれ
③クリーニングに出す
汚れのチェックが終わったら、早めにクリーニングに出しましょう。
汚れがないように見えても、私が拝見させて頂くと、必ずどこかが汚れており、さらに細かいホコリまでは肉眼ではわかりません。
脇汗の変色
また、成人式は寒い時期に行われますが、多少の汗はかいており、着た直後は大丈夫でも、クリーニングをしておかないと、時間がたってから黄色く変色することがあります。
汗をかいたら「汗抜き加工」
暑い日に着物を着て汗をたくさんかいた時は、クリーニングとは別に「汗抜き加工」もしてもらいましょう。
汗は水溶性の汚れのため、揮発性の溶剤で洗う丸洗いだけは、汗の成分が残ってしまい変色の原因となります。
さらに、お天気が悪かった場合、雨や雪は空気中の不純物をたくさん含んでいるため、こちらも時間がたつと雨ジミとなって浮き出てくることがあります。
このような汚れの染み抜きは、早い方が落としやすく、費用も少なくて済みます。
最近はどの振袖ショップでも購入した際は「丸洗い無料」などの特典が付いていることが多いので、それらのサービスを利用し、早めにクリーニングに出すことをおすすめします。
着物のお手れのポイント
丸洗い・染み抜きの違い
丸洗い
染み抜き
クリーニングに出すとき気をつけたいのが「丸洗い」と「染み抜き」は別の作業になるという点です。
- 丸洗いは和服専用洗濯機に着物を入れ、揮発性の溶剤で全体を洗うこと。
- 染み抜きは専門の職人が、汚れの箇所をピンポイントで落とす作業。
しつこい汚れがついている場合、丸洗いだけではシミが残ってしまうことが多いので、汚れの箇所を指定し、染み抜きも一緒にお願いしましょう。
自分でする染み抜きに注意
和服の知識がない方が、ネットなどの情報を見てベンジンで染み抜きし、さらにひどい状態になって当店に持ち込むケースが増えています。
染み抜きに慣れていないのであれば、ネットの情報を鵜吞みにするのではなく、専門の方に任せましょう。
振袖のクリーニング・染み抜き料金
クリーニング料金はお店によって違いますが、約1万円前後の費用がかかります。
染み抜き代は、汚れの種類・範囲によってかわりますので、見積りをしてもらいましょう。
納期については、洋服のように1週間以内で仕上がることはありませんので注意が必要です。
やまなかクリーニング料金(税込) | |
---|---|
振袖 | 10,000円 |
長襦袢 | 7,000円 |
帯 | 7,000円 |
染み抜き代 | 別途見積り |
納期 | 約2カ月 |
帯もクリーニングに出すの?
帯については、汚れやシワもないようでしたら、陰干しして、そのままタンスにしまって大丈夫です。
着物や長襦袢と同じ頻度でクリーニングに出す必要はありません。
ただ、汚れがついたり、シワがひどい場合は、帯もクリーニングすることができますので、一緒にお願いしましょう。
帯の糸ほつれ
また振袖の帯は「変わり結び」をするため、糸がほつれていることがあります。
多少のほつれなら構いませんが、糸がかなり出てしまっている時は直してもらいましょう。
どんなお店に出せばよい?
着物のクリーニングを取り扱っているお店は、おもに次の5つです。
① 悉皆屋(着物染み抜き専門店)
② 呉服店
③ 百貨店の呉服部門
④ 洋服のクリーニング店
⑤ ネットのクリーニング店
着物の染み抜きについて一番良いのは、①悉皆(しっかい)屋です。
しかし、この悉皆屋は全国的にも少なくなってきており、皆様のお近くにないかもしれません。
その際は和服についての知識もある②呉服店・③百貨店が良いでしょう。
また丸洗いだけでしたら、和服もあつかう④洋服クリーニング店でもとくに問題ありません。
価格がいちばん安いのは、楽天などに出店している⑤ネットのクリーニング店です。
お手入れを楽にするには?
和服はどうしても着た後のメンテナンスに手間や費用がかかります。
この負担を少しでも減らすため、当店ではパールトーンガード加工をおススメしています。
パールトーン加工済みのお着物
この加工は、雨や汚れをはじく撥水効果があり、着物はもちろん帯や長襦袢にもかけることができます。
当店で着物を購入された際は、ほとんどのお客様がこの加工をされます。
最初に費用はかかりますが、長い目でみるとお手入れが楽になり、カビや変色を防ぐ効果もありますので、これからも大切にしたい和服には、パールトーン加工をかけておきましょう。
着物クリーニング専門店きものやまなか