【お嫁入りの着物】として喪服は必要か?
2018/07/20
皆さんは「喪服」という着物を御存知ですか?
色は真っ黒、家紋が5つ付いている女性がお葬式の時に着る和装喪服の事です。
この喪服について よくあるご質問の中に「喪服はお嫁入りの着物として必要なのでしょうか?」と いうのがあります。
おめでたいフォーマルの場で着用する訪問着や振袖と違い、普段あまり お話する機会があまりませんので、今回はこの喪服の必要性についてお話をさせて頂きます。
喪服の現状
喪服について お客様にお尋ねすると「最近 着ないからねぇ~」というお答えが返ってきます。
確かに昔に比べると、和装喪服の女性をお葬式で見かけることは少なくなってきました。
ただ実際に「やまなか」のお客様データを調べてみると、未婚・既婚に関わらず、お嬢様が35歳になるまでに65%の方が 喪服をおつくりになっています。
また お母様の世代にいたっては、9割以上の方が和服の喪服をお持ちになっています。
喪服をつくる3つの理由
昔ほど着なくなったのに、今でも多くの方が喪服をおつくりになるのは何故でしょうか? その理由は大きく分けて3つあります。
明日着なければいけない喪服
結婚式に着る黒留袖や訪問着などは 4~6ヶ月前には 御連絡あるので、いま持っていなかったとしても準備するだけの余裕が十分あります。
しかし 喪服については、明日もしくは明後日 着なければいけないというケースがあるので、持っていないと もう間に合いません。
また 病人が出てからでは、いかにも亡くなるの待っているようで、準備はしにくいもの。そのため 喪服については、ご家族が健康な時に前もっておつくりになる方がほとんどです。
あと「喪服はレンタルで」という方もおられますが、どこの・誰が・どんな悲しい席で着たかわからない様な「きもの」を皆さんは着たいと思われますか?
ひょっとしたら、あなたが借りる その「貸衣装の喪服」は、悲惨な事件や事故で家族が亡くなり、遺族の方々が泣き叫ぶお葬式で使われたものかもしれません。
これはあくまで 私の個人的な意見ですが、喪服をレンタルで済ますぐらいなら、ブラックフォーマル(洋服)で参列された方が私は良いと思います。

お嫁入りの道具としての喪服
名古屋は 皆様も御存知のとおり「お嫁入りのお仕度が派手」という事で知られています。
そのため、昔なら嫁ぎ先のお母様にどの着物を嫁入り道具として お持ちすれば良いか、お伺いを立てたものです。
しかし今の時代 そのような事をたずねても、先方はこちらに気を使い、
「何も持ってこなくて いいですよ。」
という返事しか返ってきません。
ではその言葉どおり 何も持って行かないと 今度は、
「〇〇さん、本当に何も持って来なかったのね・・・」
なんて言われたりします(汗)
実際に 私共のお店でも、嫁いだ後にお姑さんから嫌味を言われ、しぶしぶ ご実家のお母様と喪服を買いに来られる方が あとを絶ちません。
そんな事なら 最初から言ってよ! と ツッコミを入れたくなりますが、
「喪服ぐらいは 何も言わなくても用意してくるでしょう。」
という意識は、今でも根強く残っています。
昔のように タンスに入りきらない程 着物を用意する必要は ないと思いますが、必要最低限のお仕度は、準備しておいた方が良いのではないでしょうか。
かりに、喪服を着ることが当分なかったとしても、
「お嫁さんの ご実家は、きちんとした ご家庭なんだな」
ということが、先方のお母様にもおわかり頂けると思います。

御守りとしての喪服
現在 愛知県や名古屋市内の慣習では、喪服の家紋は 嫁ぎ先ではなく、ご実家の家紋を入れます。そしてこれには、ちゃんと意味があります。
喪服についている「5つの家紋」は、ご実家の ご先祖様や ご両親をあらわし、嫁いでからも「御守り」として お嬢様を悪いことから 守ってくれるというものです。
つまり、喪服を着るという事は、家族の愛に守られている証であり、日本独特の文化でもあるのです。
人が身につける「衣装」は時代と共に、変化していきますが、この喪服と 家紋に関する考え方は、日本人として大切にしていきたいですね。

以上「喪服をつくる3つの理由」をお話させて頂きましたが、お葬式に参列する 一番の目的は、亡くなられた方へ今まで お世話になった「感謝の想い」を お伝えする事です。
喪服は、家紋が5つ付いている日本女性の第1礼装(最も格が高い装い)ですので、この想いを 伝えるのに 最も適した装いです。
とくにお亡くなりに なったのが、お父様や お母様であったり、ご主人様である場合、その想いはひと言では 言い尽くせないと思います。
もし、喪服の着物が必要なのか をお考えになる時は、先ほどお話した「3つの理由」以外に、あなたならどんな装いでこの想いを最愛の人に伝えるかを考えてみてください。
またお嬢様の着物としてお考えになる場合は、ご自分の旅立ちの時「お嬢様にはどんな想いと装いで見送ってもらいたいか?」
そして「日本人として どんな女性でいてほしいか?」も合わせて お考えになってみて下さい。
喪服の販売
なお「きものやまなか」では、お嫁入りのお支度として欠かせない喪服を、特別価格にて販売しておりますので、お気軽にお問い合わせください。